●ESP学園に入学しよう思ったきっかけは何ですか？
音響の仕事に就くための学校をインターネットで探していて知りました。そのあと、高校に置いてあった専門学校の資料でも調べました。当時は親から、「高校を出たあとは就職して欲しい。」と言われていて、私もそうしようと思ったときもありましたが、どうしても音楽業界で仕事がしたかったんです。
あるとき静岡からESP学園へ行く送迎バスがあるのを知って、とにかく一度学校を見に行ってみようと思い、友達と一緒にオープンキャンパスへ行きました。そこにiffyというESP学園の卒業生が所属するバンドが来ていて、彼らのライブを観て背中を押された気がしたんです。そのことが入学のきっかけになりました。
さらに入学の決めては、当時DiGiCo(デジコ)というPA機材がESP学園にしかなくて、扱えるようになりたいと思ったことです。今の会社に入ってから現場で偶然同じ機材を扱う機会があり、学校で習っていて良かったと思いました。
●現在の仕事にいきている授業や印象に残っていることは何ですか？
学校で教わった機材の扱いもそうですが、管楽器など様々な楽器について学べたことは今でも役に立っています。ステージの仕事にはオーケストラの対応もあるので、ある程度楽器の特性や扱い方も知っておいてよかったです。
●授業以外での学校生活の思い出や心に残っているのはどんなことでしょうか？
学生時代は居酒屋とカラオケ店のアルバイトを掛け持ちでやっていたので、あまり遊びには行かなかったですが、音楽つながりの友達ができて、今でも連絡を取り合っています。高校の時にはできなかったような友達はできましたね。
●仕事で楽しいと感じている点、魅力、やりがいを教えてください。
全ての仕事に共通していると思いますが、やはりクライアントに「ありがとう！」と言ってもらったときにやりがいを感じます。自分の仕事で人から感謝されたときには、この仕事をやっていてよかったと思います。演者とうまくコミュニケーションを取ることも大切で、ライブ本番前に出演者の緊張をほぐせるようにコミュニケーションを取ることもありますが、そのあと本番がうまくいって、お客様が喜んでいる姿も励みになります。
●仕事を継続していくうえで大切にしていることを教えてください。
私の場合は音楽を嫌いにならないようにすることです。特に仕事がうまくいかなかったときに関わった曲とか、「もうこの曲は聴きたくない。」って思うこともありました。でも、そのうち時が経てば良い思い出になると思いますが（笑）。
●仕事で辛いと感じる点（時）はどのようなこと（時）でしょうか？
音響のオペレーションをしていたきに、マイクの番号を聞き間違えてしまったことがあって、音量を上げなきゃいけないのにフェーダーを間違えてしまって…、ワンオペだったのでパニックになったことがありました。その時は落ち込みましたが、そういった辛い経験が今にいきています。
●最後に、業界を目指そうとしている、或いは目指そうか迷っている高校生に一言アドバイスをお願いします。
自分が本当にやりたいことは、自分で見極めて欲しいと思います。特にエンタメ業界の仕事は遊びみたいに思われることもありますが、その分野でプロとして仕事をしている人は真剣に取り組んでいます。どの業界でも同じだと思いますが、その分野でちゃんとご飯を食べていけるのか、自分で真剣に考えることが大切だと思います。
【取材協力】
私たちは、企画力・技術力を駆使し、最高の「感動空間」を作ります。
株式会社ステージ・ループ静岡
〒422-8005 静岡市駿河区池田230
TEL 054-295-4011 FAX 054-295-4015
【編集後記】
久保田さんと初めてお会いしたのは、静岡県高等学校軽音楽大会の会場でした。1日の出演バンド数が20組を超える慌ただしいステージ上で、テキパキと仕事をこなしている女性がいるなぁ…、と感心していたところ、「実は私ESP学園出身なんです。」と言われ、その場で「後輩のために取材させてください。」とお願いしたのがきっかけでした。
久保田さんが仰っていた、「その分野でご飯を食べていけるのか？」という問いかけは、どの進路においても肝心なことだと思いますし、「食べていけるのか…？」という視点で仕事を考えるは当たり前のことだと思うので、久保田さんの親御さんのお気持ちも理解できます。それでも、自分が好きなことに挑戦したいという思いを大切に、今のお仕事をされている久保田さんはとても輝いていると感じました。久保田さんは、「ずっと続けるかわからない…。」とも仰っていましたが、仕事の本質を見極めた彼女なら何でもできるような気がしました。これからも、ご自身が信じる道を突き進んでいただければと思います。
以上
